今後、より注目される「断熱リフォーム」というカテゴリー。
すでに、国の補助金施策により、「窓断熱リフォーム」が急増しているようですが、窓だけのバランスの悪い断熱リフォームを行うと、中・長期的な視点では以下のような「断熱リフォームのメリット」がすべて裏目にでてしまう可能性があります。
また、今まで高性能住宅を専門に建築している業者以外で、リフォーム専門業者や断熱気密施工の知識や経験が浅い業者に依頼することはリスクが高いので注意が必要です。
〇断熱リフォームの良い面(メリット)
- 快適性の向上・・・冬は暖かく、夏は涼しい室内環境を実現。室内の温度差(上下・部屋間)が小さくなり、ヒートショックのリスクが減る。床や壁の表面温度が上がり、体感的にも寒く感じにくい。
- 光熱費の削減・・・エアコンや暖房の使用量が減り、冷暖房費が下がる。電気・ガス代を年間数万円単位で節約できるケースが多い。
- 結露の軽減・カビ抑制・・・窓や壁の表面温度が下がりにくくなることで、結露が起こりにくくなり、カビの発生が抑制される。
- 健康面への好影響・・・温度差が少ないことで血圧変動が小さくなり、脳卒中や心筋梗塞のリスクが減少。ダニやカビの繁殖が抑えられることで、アレルギーや喘息の悪化を防ぐ。
- 家の資産価値向上・・・住宅の性能が向上し、省エネ基準を満たすことで資産価値が上がる。将来的な売却時の評価にもプラス。
窓断熱のみでは壁体内や床の結露リスクが残る
日本の既存住宅では、窓が最も熱が逃げやすい(家全体の熱損失の約50%が窓からと言われる)ため、まず窓の断熱を強化する例が多いです。しかし、窓を高性能(例えばLow-Eトリプルガラス)に交換しても、外壁や天井、床の断熱性能が低いままだと、外気温に影響されやすい壁や床が冷えたままになります。
そのため、室内の暖かく湿った空気が、その壁面・床などの断熱欠損部に接触すると、そこで結露が起きやすくなります。
つまり、断熱リフォームのメリットとされていたことが、以下のような裏目に出てしまう可能性があるのです。
