昨今、住宅の省エネ基準はますます厳格化が進み、2022年の法改正では新たに「断熱等級6・7」が創設されました。これにより、UA値などの外皮性能指標をさらに高水準にする住宅が注目を集めています。特に等級7はHEAT20のG3レベルに相当し、これを取得すれば「最高レベルの高断熱住宅」とPRすることが可能です。しかしこの流れの中で、私たちはひとつ大きな懸念を抱いています。それは、こうした性能競争が加熱するあまり、本来重視されるべき「住み心地」や「暮らしやすさ」を犠牲にしてまで、数字上の性能を稼ぐだけの住宅をつくる会社が増えてしまうのではないか、ということです。
実際、断熱性能を極端に高めるために*リビングの天井を低くしたり、窓を必要以上に小さくしたり、吹き抜けを避けて閉じた間取りにする*など、本来その家で暮らす家族が感じる開放感や明るさを二の次にした設計が散見されるようになってきました。確かにこうした方法はUA値を簡単に下げることができますが、それは暮らしの快適さを置き去りにした、いわば数字だけが立派な「偽りの高性能住宅」と言えるでしょう。




